実際に見聞きしたことを中心に韓国のウンチク情報を紹介しています。妻が韓国人ならではのディープなネタもあります。


最近はかなり減ってしまいましたが、前世紀には在日韓国朝鮮人が経営する印刷会社が下町にたくさんありました。
寅さんに出てくるハゲ親父の印刷工場をイメージしてもらえればよいと思います。
学生時代、お金が欲しいときによくアルバイトをさせてもらいました。
印刷用の紙材を運んだり、印刷物をトラックに積み込む仕事が多かったのですが、紙って本当に重いんですよね。
オジさんになってしまった今では、あんな力仕事をやれと言われても絶対に無理です。

1990年頃まで、韓国の印刷会社は日本の下請け仕事をしていました。
PPを貼る会社が多く、ボクも交渉の手伝いで何度か渡韓した覚えがあります。
PPというのは本をコーティングするビニールのことで、表面がテカテカ光る本はたいていPP処理されています(紙資源再利用のため、最近はPP処理がかなり減っている)。
印刷した本を韓国へ運んでPP加工を施し、それをまた日本に戻していました。
もちろん、印刷から製本まで一括して請け負っていた会社もたくさんありました。
当時は、加工費も人件費も、韓国のようがずっと安かったのです。

最近は日本も韓国も中国へ下請けに出しています。
いまはデータ制作から印刷までフルデジタル化されていますから、日本で完成させた印刷データを中国の工場へ送信してしまえば、現地で印刷して送って来ます。
ダイレクトメールは、香港から直接郵送することも多いですね。

さて、なぜこんな話をしたかというと、昨日、編集者さんたちと飲んでいるとき、自費出版の話が出たからです。
お金に困った小出版社が年寄りに高額の自費出版制作費を請求するケースは昔から多いのですが、とてもとても儲かるというので、最近は大手出版社まで参入しています。
自分の本を出したいという団塊世代の人が増え続けているのです。
1000〜2000部印刷して一部を書店に並べてもらうと、200万〜300万円の請求書が来ます。

この自費出版本。
原価はいったいいくらでしょう?
四六判の単行本を1000部印刷した場合、印刷費用は50万円程度です。
「えっ、そんなに安いの?」って思った人も多いことでしょう。
でも、印刷代だけで本が出来上がるわけではありません。
テキストデータ状態の著者原稿は、編集者チェック、プロ校正、データ修正、デザイン、組版という段階を経てやっと印刷できる完成データになります。
日銭稼ぎに100冊以上の書籍を制作した経験から言うと、各段階の作業内容と費用は以下のようになります。

【編集費】
著者との打ち合わせから始まり、各作業者への連絡、全体の進行管理などをする縁の下の力持ちです。大手出版社に頼んでも実際に体を動かすのは、フリーの編集者や編集ライターです。ギャラは簡単な自費出版物で10万円〜。ややこしくて時間がかかるものや、難易度が高く豊富な経験を必要とするものになると50万円を超えることもあります。一般の人がプロの編集者を見つけるのは難しいのですが、単行本を扱っている印刷会社に頼めば、適当な人を紹介してくれるでしょう。

【校正費】
誤植をチェックするだけの文字校正なら1冊5万円〜。事実関係のチェックや文体校正などをプラスするに従って値段が上がります。校正会社はネットで簡単に検索できます。制作費を圧縮する場合は、編集者が文字校正も行います。

【デザイン料(データ作成料)】
一般的な単行本ならデザイナーが印刷データにしてくれます。決まったデザインに従って文字を流し込み、印刷できる状態のデータを制作します。見栄えはデザイン次第ですが、デザイナーの力量はピンキリ、ギャラもピンキリです。自費出版物の場合、一定のパターンを組み合わせてデザインすることが多いのですが、これならデザイン代は事実上無料で、実質的には「デザイン代=印刷データ作成料」になります。ギャラは5万円〜。文字を組み上げたあとに著者の都合で直すと、修正代が別途かかります。出版社が制作する一般書籍の場合、20万〜30万円をデザイナーに支払います。50万以上になることもしばしばです。文字のロゴを作ってもらうだけで10万円かかるケースもありますから、はっきり言って上限はありません。ネットで検索して探すことができるデザイナーはウェブ向きのひとたちで、単行本のデザインには不慣れです。個人で探すなら、やはり印刷会社に紹介してもらうのがよいでしょう。

ということで、制作費を思いっきりケチって粗雑な自費出版物を作った場合、総額は70万円程度(出版社の利益は含まない)ですみます。
ちょっとお金をかけてそこそこのモノを作っても100万円です。
一般の単行本は初版が3000〜5000部の印刷ですが、5000部の原価は200万〜500万円といったところです。

ただし、これは本をつくるだけの話です。
名刺代わりに配るだけならここまでの費用で終わりですが、本屋さんに並べてもらうには、ほかにもいろいろと費用がかかります。
ISBNという書籍コードを取得する費用、商業印刷物に必要なバーコードを作成する費用、短冊と呼ばれる流通伝票の作成費用、流通会社へ支払う取次ぎ費用、書店の利益・・・。
実にさまざまな費用が必要になります。
そこで、自費出版物をメインにしている出版社では、お金を払って書店のスペースを借り、そこへ自費出版物を並べています。
ただし、最寄の本屋さんやネット書店で注文することはできません。

自分の本を安く作るには『一般書籍をよく印刷している会社に依頼する』のがイチバンだと思います。
こういった印刷会社には営業マンがいて、彼等が編集者の役割を果たしてくれます。
どこの書店からでも注文できるようにしたい人は、相応の制作費を支払って大手に依頼してください。

 にほんブログ村 海外生活ブログ 韓国情報へ 
↑おもしろかったらポチッとお願いします<(_"_)>↑





コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://aiueo001.blog15.fc2.com/tb.php/134-17511e8e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック